櫻田武です。
本市の前教育長は、授業の中の「ゆさぶり」が考える力を育む、と教育委員会訪問で必ず話します。
では、どうやって子供達をゆさぶりますか?
いろいろな作戦はありますが、その一つとして、「絵に描かせる」方法があります。
授業のユニバーサルデザインのポイントとして「視覚化」ということがよく言われます。
絵や図、写真を提示することで分かりやすいということなのですが、しかし、絵や図、写真の内容を記憶できているかといいますと、そうではないのです。
人間の脳は、視覚的な記憶は、実は苦手です。
ASDの子供たちの中には、写真で撮ったように、観た景色を細部まで再現できる人もいますが、本来人間という動物は観たものを抽象的に記憶することしかできません。
もっと具体的に言いますと、人間は突然、「1000円札の絵を描いてください」とか「自分の腕時計の絵を描いてください」と言われたら、ほとんどの人が正確に描けないのです。
その代わり、そのものがちょっと変わって正確ではないとしても、1000円札だなとか、自分の腕時計だと認識することができます。
鳥は、視覚的な記憶が得意です。
だから、渡り鳥がシベリアのような遠いところから1年経って戻ってきても、正確な場所にたどり着けるわけです。
しかし、少し景観が変わっただけでも、鳥は場所が分からなくなってしまいます。
脳は進化するにしたがって、抽象的な思考ができるようになるのです。
「ちがう」ということがわかるより、「同じ」ということが分かる方が難しいのです。
あなたは、赤いリンゴも黄色いリンゴも小さいリンゴも大きいリンゴも、「同じリンゴ」と分かりますよね。。。。。
さて、ずいぶん前置きが長くなりましたが、「ゆさぶり」には、この脳の特性を利用するわけです。
「今たくさんの見つけた虫を話してくれましたが、じゃあ、絵に描いてみましょう。」
「サツマイモ掘りで、たくさんのサツマイモ取れましたね。じゃあ、サツマイモと葉っぱと根っこを絵に描いてみましょう。」
「銃で打たれたごんぎつねの場面の絵を描いてみましょう。」
わかってる、知ってる、と安心させて、急に分からなくさせる。。。。
思考をゆさぶるために、ぜひ、絵に描かせてみてください。
*ただし、正確に絵を描かせることが目的ではないことを付け加えておきます。
それでは、また。
今日もありがとうございました。
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櫻田の推しほん
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