櫻田武です。
計算の基礎となる数唱と計数、数概念に関しては、乳幼児期のその能力の発露がみられるとする研究が多いです。
これは、計算障害の子供の困難が経験の少なさといった環境面の影響ではなく、数を理解し操作する数概念の発達になんらかの課題を持っていることを示しています。
<数を唱える>
3歳ごろまでには、20以下の数についてほぼ唱えることが可能になります。
4歳ごろには20以上の数を唱えることも可能になり、8歳で100以上の数を唱えることが可能になるとされています。
数を唱える事は単なる機械的な記憶ではなく、数の中にある規則性を理解しており、数を唱えることの発達は簡単な足し算、引き算の基礎になっています。
<計数>
「数える」には、ものを数える計数というスキルと口で唱えるスキルがあります。
子供が数詞を唱えながらモノを指差しするところから、この2つのスキルは独立したものではなく、相互に関連した能力であるといわれています。
ゲルマンとクリステルは、物の数を数えるといった単純な計数にも、様々な子供の数理解が反映されており、正しく計数ができるためには、以下の5つの原理が必要と述べ、これらの原理の理解は、幼児は生得的に習得していることを指摘しています。
① 1対1対応
1つのものに数の名前を1つだけ当てはめることができれば、一対一対応ができるということになります。
一対一対応が数理解の最も基礎的な原理であり、それが理解できなければ数の保存も獲得できません。
②安定した順序
用いられる数詞が常に同じ順序で配列される原理です。
1〜5までの順番をいつも同じように言えることを指し、4歳児では100%の子供が安定した順序をもっています。
③基数性
あるモノの集合を数えた場合に、最後の数がその集合の数の大きさを示すという原理です(量を示す)。
④順序無関連
数える順序は関係がないことをいいます。
この集合を左から数えようと、右から数えようと全体の数(個数)は変化がないという原理です。
⑤抽象性
数えるモノが何であろうと全く関係がないという原理です。
りんごとみかんと車といった別のものの集合であったとしても数えることが可能であるという原理です。
数詞を知らない1歳児未満の乳児が数の大きさを弁別できることや順序数の理解もできるという結果から、乳児もある程度の数概念を持っているとする研究もあります。
このように計算、推論の基礎能力は生得的なものであり、注意力、言語能力、空間認知能力、ワーキングメモリー等の認知の弱さと絡み合い、計算や文章題ができないという現象が生じていると考えられます。
それでは、また。
今日もありがとうございました。
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