櫻田武です。
心理学をある程度学ぶと、インテグラル理論という概念を知ります。
私は、心理学の師匠から教えていただきました。
ちょっとむずかしい概念ですし、長いですが、今日はこれをご紹介します。
この概念は、自然科学や人文科学、はたまた宗教さえ、心理学へと統合した考え方です。
このインテグラル理論の中でも有名なのは、「スパイラルダイナミクス」という概念です。
これは簡単に言えば、人間のステージを表していて、マズローの欲求5段階説よりも高度な理論です。
この理論を普及しているドン・ベック博士は、ネルソン・マンデラ元大統領やビル・クリントン元大統領にも影響を与えています。
◇スパイラルダイナミクス 限りなく上昇する探求
※簡単な抜粋（上記のページ中央より）
▼１番高いステージ：自己超越、地球全体への貢献
ターコイズ・全体性（ホリスティック）のミーム ─ 30年前より出現
基本概念：知性（マインド）と霊性（スピリット）を通して存在の全体性を経験する。
・世界は、われわれの集合知性と共に一つの動的な組織体である。
・自己（セルフ）は、独立した「個」であると同時に、慈愛に満ちた大きな「全体」にとけあった「一部」でもある。
・全てのものが、全てのものに生態的に正しくつながっている。
・エネルギーと知識が、地球上の全体的環境の中に行き渡っている。
・全体的・直観的な思考と協力的な活動とが期待される。
▼２番目のステージ：自己実現、物質主義からの離脱
イエロー・統合性のミーム ─ 50年前に出現
基本概念：自分らしくありながら学びつつ、責任をもってフルに生きる。
・生きることは、自然の序列、システム、かたちあるものの万華鏡である。
・存在の素晴らしさは、物質的所有とは関係のないところにその価値をもつ。
・柔軟さ、素朴さ、機能性が、最優先される。
・相違が、相互関係と自然な流れの中へ統合され得る。
・混沌や変化も自然なことであるのを理解する。
▼３番目のステージ：平等主義、共同体主義
グリーン・共同/平等のミーム ─ 150年前に出現
基本概念：内的自己の平安の追求、他者と共にコミュニティー全体への気づかいを探求。
・人間の精神は、貪欲・ドグマ・分裂から自由でなければならない。
・感覚・感性・気づかいが、冷たい合理性にとって代わる。
・地球上の資源や機会を、全て平等に分け与える。
・和解と一致のプロセスを通して決定に到る。
・精神性の一新し、調和をもたらし、人間の発展を豊かにする。
▼４番目のステージ：個人主義、拝金主義
オレンジ・達成/戦略のミーム ─ 300年前に出現
基本概念：勝つためにゲームをし、自己利益のために行動しろ。
・変化と前進は、物事の枠組みに本来的に備わっているものである。
・自然の仕組みを学び、最適な解決法を求めることで進歩する。
・良い生活が、大量に作り出され広く行き渡るため、地球上の資源を操作する。
・楽観主義でリスクを厭わず自立した人々が、成功に値する。
・社会は、戦略と技術と競争によってこそ繁栄する。
▼５番目のステージ：権威主義、規範主義
ブルー・目的があること/権威主義のミーム ─ 5000年前に出現
基本概念：人生には、定められた結末による意味と方向と目的がある。
・超越的な「理由」・「真理」・「正しい道」へと自己を犠牲にする。
・永遠の絶対的な理念に基づく「命令」が、行動規範を強制する。
・正しい生活が、今の安定を生み出し、未来の報酬を約束する。
・衝動は罪の意識によりコントロールされ、全ての者が相応しい場所を有する。
・法律、規則、規範が、道徳的性質および人格を形成する。
▼６番目のステージ：支配主義、独裁主義
レッド・衝動/自己中心性のミーム ─ 1万年前に出現
基本概念：手段を選ばず、自分のなりたい者になり、したいことをする。
・世界は、威嚇と略奪に満ちたジャングルである。
・自己の欲望を満たすため、いかなる支配と強制も自由に打ち破る。
・背伸びし、注目を期待し、尊敬を要求し、采配を振るう。
・後悔と罪の意識なく、今だけの自分を楽しむ。
・他の攻撃的な人物を制し、出し抜き、支配する。
▼７番目のステージ：部族主義、呪術主義
パープル・呪術/アニミズムのミーム ─ 5万年前に出現
基本概念：精霊を喜ばせておけば、部族の住み家は暖かく安全である。
・精霊や神秘的なしるしの要求に従う。
・首長、年長者、祖先、一族への忠誠を示す。
・個人が集団に包摂される。
・神聖な物品、場所、出来事、記憶の保存。
・通過儀礼、季節のめぐり、部族的慣習に忠実である。
▼８番目のステージ：生存欲求、生理的欲求
ベージュ・本能的/生存的のミーム ─ 10万年前に出現
基本概念：ただ生きるためだけのことをしろ。
・生存のための本能と習性のみを使う。
・個としての自己が、かろうじて意識あるいは維持される。
・食物、水、温暖、セックス、安全が最優先される。
・生活の継続のために生存集団が形成される。
・他の動物たちとは、一線を画して暮らす。
※以上、抜粋
基本的に先進国ほど高いレベルの人が多く、新興国ほど低いレベルの人が多い傾向があります。
また、同じ人でも歳をとるにつれて、上位のレベルに上がりやすくなります。
自分が今どのステージにいるかわかれば、次のステージを目指せますよね。
※最近ではターコイズよりも上にコーラルという、もっと高いステージの存在も提唱されています。
これは、スパイラル（らせん状）に上昇していくので、哲学者ヘーゲルが弁証法でいうところの「対立物の相互浸透」が起きています。
それゆえ、順番にレベルが上がらない人も多いですね。
もともと奇数だった人は7→5→3→1と1個飛ばしで上がっていき、もともと偶数だった人は8→6→4→2と1個飛ばしで上がっていくこともあります。
もちろん、4で痛い目を見て、3に一気に振れる人もいますが、偶数同士と奇数同士は似ているのです。
さて、今日の結論です。
私にとっての教育の定義とは、生徒のステージを上げてあげることだけです。
ですので、資本主義の中でお金を稼ぐ方法を教えることとか、いかに受験で合格するかを教えることは、私は教育ではなく洗脳だと思っています。
生徒のステージを上げるのではなく、固定する方にベクトルが向いているからです。
あなたの目指す方向、目標の方向は、ステージを上げる方向ですか？
それとも、とにかくお金を稼ぐ（＝ステージ４）など、同じステージの中で結果を出すことですか？
もし後者なら、あなたは完全に洗脳されています。
今の師匠からは離れたほうがいいかもしれません。
なぜなら、その師匠も完全に洗脳されているからです。
それでは、また。
今日もありがとうございました。
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